西穂高岳

2011年4月29日〜4月30日
中野(記録)・日置・坂地


 過去の積雪期西穂高岳山行を紐解くと、07年度年末山行と昨年10年クリスマス山行の両者共冬季であった。
 前者は年末寒波に見舞われ小屋まで、昨年もクリスマス寒波で同様に小屋までしか行けず。
 積雪冬季西穂の頂には未だ立ったことはないし、長年の希望でもあった。それが今回やっと実現化。もっとも西穂を超え奥穂までの予定が西穂止まりとなったがそれでも満足である。
ふたりの良きパートナーを得たからだと確信している。
 今回のゴールデンウィークの前半は例年通りではなく、4月の終わり近くまで降雪があり雪質が安定せず、雪大規模な雪崩が発生、そして強風、霙と最悪の天候だった。後半は少し天候に恵まれ益しだったが我々はその前半で行動した。

 29日早朝に大阪を後にする。昼前、新穂高温泉に到着、混雑したロープウェイに紛れ30分足らずで雪の世界に到着。小屋まで1時間半足らずの道程。天候はまずまず。西穂の小屋もロープウェイと同様混雑し満員の様子。テン場はそれほど混まず、充分にスペース有り。
 テント設営中予期せぬ事態が発生。ポールが折れるアクシデントに見舞われるが、何とかテーピングのテープでぐるぐる巻き応急措置が出来た。その時は風もなく穏やかな天候だったので対応できたが、これが厳冬期で強風吹雪だったら、最悪に事態にもなりかねない。春は良いが厳冬期は補修用のサヤ管が絶対必携と感じる(教訓1)。 加川良の歌の題名?

 今回は軽量化の為、2.3テンで3人、少し狭いので荷物は殆ど外のツェルトに収納、手廻りの食器、食料、寝具だけテントに入れる。何故か私は中央で、狭い分寒くなく朝を迎える。−5度位まで降下したと思われる。

 前日夕方の様相と天候は一転、見通しは悪く風も強い、しかし温度は春期であるそれ程寒さを感じない。
 天候は下り坂、悩んだが日置さんのラジカルな行動につられてフル装備を担ぎ予定通り北穂を目指す事にする、途中撤退を頭の中に入れての作戦でもある。
 上へ向かう登山者は程ほどにいる、小屋泊者は無論、テント泊者もしかり全員が軽いアタックザックのみで上部を目指して行く。少し予定より時間を使い我々も後を追う、但しテントを撤収して重装備での行動である。

 丸山を超え更に独標へと向かう、益々風が強くなる、時折耐風姿勢を取らなければ身体が飛ばされる程の突風が吹く。
 ふと見上げると、昨日テン場で出会いアドバイスを受けた白峰の《K氏》に会う。女性二人を連れた3人Pで独標まで行き強風のため本峰は諦め降りて来た処である。ここでまた有り難くアドバイスを頂戴する。

 独標に到着、殆どの人はここで降りる様である、本峰を目指す人達は無論いるが然程多くはない様に感じた。天候が良ければここを超えて行く人達が多くいると思われるが、この天候では先へは進めないと判断した登山者が大半なのかも知れない。
 この天候で更に今晩明日と悪化が見込まれるので独標の頂上で提案、《最小限の荷物で本峰を目指す、あとはここに残置》あっさり全員一致、ここから身軽に行動。

 重荷から開放されたのでその分更に突風に気を使う、リッジで飛ばされたら終わりである。たまにだがザイルで結ばれた人に合う、尾根上では滑落したら逆方向に飛び込めば、バランスして止まるはずであるが、そう旨くいくか、引き込まれ二人共滑落の可能性が強い様に思われる。日ごろからあらゆる事を想定して訓練経験をしていて自信のあるのかと、考えてしまう。

 本峰に到着誰も居ず、更に進むが何処にもトレースなし、此れから先は行ってないことになる。尾根上を更に進むとなっているが、段々傾斜が強くなりコルに降りるには雪壁を下りるしかない、右側の斜面(上高地側)をトラバースする方法もあるが、これもかなり厳しい、フル装備の重荷では危険である、滑落すればピッケルとアイゼンでは止まらない。
 ロープが必要でPを組むしかない、単独は行けるにしても時間が数倍掛かるし無理をする事になるのでリスクは高い、体力と技術と経験を積み障害を除外して挑戦して見たいが、今回は諦めるしかない。

 ノーザイルでトレースを着けるが、傾斜が強くなり危険と判断、引き返すしかない。
 暫くルートを模索するが、他に無い様だ、ここを降りるしかないのだ。

 少し休憩しているとザイル持った坂地さんと、日置さんが現れる。
早速見てもらい、日置さんがザイルを着け降り事になった、途中岩が露出している処まで行った、50M 一杯まで伸ばせばコルに着く事が出来るかも知れないとの情報。
 次に坂地さんが降りる、最後に私が降りる。岩が出てきた、支点を探すがない、更に降りるがない、ハーケンを打ち込む様な岩ではない、脆い感じだし的確なリスもない、コルまで10M以上はある、感じとしたら不足、60Mでカッカッー杯のようだ、場合に寄れば最後外してコルに到達そんな感じだ。
 本峰に登り返しここまで。今回この西穂岳登山者の中で我々のPが最高到達点以上に一番先に伸ばしたことになる。天候が悪い中ここまで来られて満足です、日置さん、坂地さん有難うございました。

 降りに今回大変な損出を生むことになり、後日調べると1万7千円以上の痛手です。
 本峰からの降りでどの位下りたのだろう、少し傾斜は緩やかになり安定した場所に来た時、その場に居た登山者から指摘された、左足のアイゼンが着いていないと。見ると確かにない。全然気が付かなかったし、違和感もなかった。捜しに行くにしてもどの場所か特定出来ない。なしでも安定して下れたのだから探しようがない。まして後からの二人も気が付かないのだから、諦めるしかない。
 春期、早朝は必要だが、気温が上昇する昼間基本は必要ない。還って邪魔になるだけである。外して置けば無くする事もなかった、只岩稜帯は着ける方が心強いし登り易い、足首に確保して置くべきだった。(教訓2)

 以前にも、春だったが、槍ヶ岳にアイゼンなしで登ったことがある。テントに置き忘れ取りに還るの面倒だったので、ただテン場の影部分で凍っていて気が付かなく転倒したことがある。

 途中、霙に顔を叩かれ痛い思いをして、西穂のテン場に到着。テン場は殆ど撤収され、素早い下山、小屋の中は相変わらず満員。我々もそのままテントを張る事無く下山。
 その日は日置さんの別荘に厄介になり、翌日帰阪。

(中野)